北條は名マジシャンであった祖父を持つサラリーマン。
仕事で訪れたカジノで難読症の少年?長見良とで出会う。
良は北條の祖父から、マジックの技だけでなく、賭博でのイカサマの技までも伝授していた。
良の才能に惚れ込んだ北條は、良をプロのマジシャンとして活躍させるために立ち上がり、二人三脚の人生をスタートさせる──。とにかく純粋におもしろい!
この良が、13才とは思えないくらいに冷静、というか、全く物怖じしない。
ものごとのとらえ方も、達観しすぎている。
難読症という、良からすれば負い目になるものが、良をそうさせたのだろう。
でもマジックの腕前は本当に凄くて、誰もが目を奪われる。
そんな良をなんとか活躍させたい、脚光を浴びせてやりたいとする北條は、とても良い男だ。
でも良のやりたいマジックは、みんなが『楽しい』もの。
北條の作る道を辿ると、どうしても『競い合う』ものになってしまう。
でも北條の気持ちが分かっているし、北條を信じている良の思いと、自分のやり方や良の気持ちをはかりかね、自問自答を繰り返す北條。
この二人の心理描写にも、胸をきゅうっとさせられる。
通い始めた学校での戦いも、思わず心揺さぶられた。
いじめられても立ち向かう良は、とてもかっこいい。
反面、とても心配になってしまう。
強くなれるかもしれないけれど、きっと傷付く痛みは大きいだろう。
小さな心が、また新たな昏さを生み出しませんように。
北條や友達や先生たちが、良を救ってくれますように。
祈らずにはいられない。
私はペン回しのエピソードが好きだ。
ペンは本来書くものだけれど、
それがどうした
というモノローグが良かった。
良らしい。
『ともだち』と呼べる存在ができたこと、『文字が読めるようになりたい』と思えるようになったこと、これだけでも、本当に学校に来て良かったと思える。
良の周りには、素敵な人が集まっていて、このまま良い方向に流れていってほしい。
けれどとうやら簡単にはうまくいきそうにないようだ。
良が万引きって!
ありえん!
はめられたのか!?
ああああ4巻が待ち遠しい!!
これを読んで、『最後のユニコーン』が読みたくなった。
おもしろそう!
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- 2009/03/19(木) 23:55:53|
- 漫画
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チビでデブ、家庭では犬にまで見下される五十路の中年男?啓一が、ある日ひとりの女子高生に恋をする。
(といっても不倫やエンコーのお話ではなく。)
平行して、投稿されたひとつのブログ。
『誰か私を見つけて──』
このブログを中心に、黒い波紋が広がってゆき、ついに恋心を寄せる女子高生がさらわれてしまう。
彼女を守る使命に燃える啓一と、なんだかんだ協力することになったチンピラ村岡、元引きこもりヤマト。
不穏な動きをする輩から、彼女を助けることができるのか?
サスペンス要素やスリリングな展開がたくさんあるのに、何故かコミカルで笑えてしまうのは、間違いなく啓一の人柄のせい(笑)
家庭での哀れなまでの仕打ちや、モデルのバイトで貞操の危機に遭った際には、思わず涙が出た。
笑い過ぎて。
ドキドキハラハラゲラゲラ(笑)、そしてキュンと胸に響くお話だった。
第2回ラブストーリー大賞を受賞したというのも納得。
ピュアで無償の愛情って、素敵だ!
外伝の、ヤマトと麻美のお話もまた面白かった。
すごいドキドキハラハラした。
啓一が本当に心底下品だったが(笑)
特にラストでヤマトが降参する場面は、胸キュン過ぎて悶絶した!
ヤマト!
最高!
こんな男の子どっかに落ちてないか!(…。)
ピュアで胸がキュンとときめく気持ちは、老若男女問わず、忘れずに持ち続けたい。
- 2009/03/01(日) 20:32:04|
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ちはやふる(Be?Loveコミックス)百人一首はスポーツだよこりゃあ!と初めて思った。
『百人一首競技かるた』となると、なるほど、と頷ける。
競技だったのだ。
やってる人からしたら当たり前かもしれないけれども。
百首のうちの半分も覚えていない私からすれば、競技者たちは神だと思う。
暗記力、瞬発力、忍耐力…。
どれも絶望的に乏しい私は、ぼーず捲りくらいでしか勝てまい。
この漫画を手に取った理由は、タイトルの『ちはやふる』。
すぐに『からくれなゐに─』の上の句だと分かったのは、私もこの句が一番好きだから。
友人の名前が入っているせいで、一番に覚えた句だから。
これをメインにしている話ってどんなだろう?と興味が湧いた。
百人一首の漫画なんて、歌の意味とかウンチクとかタラタラの、つまんない話になってるんじゃなかろうか…なんて思ってた当初の自分を蹴り飛ばしたい。
とんでもねー杞憂だった。
末次先生申し訳ありません。平身低頭。
主人公千早と、新と太一。
この三人組で戦ってゆく様子に、どんどん引き込まれる。
千早が可愛いのなんの。
素直で元気いっぱい、好感度抜群の女の子だ。
そして新が可愛いかっこいい!
福井弁もイイ。
兎に角イイ子。たまらん。
息子に欲しいぞよあんなぷりちーな子。
しかしながらこの漫画、登場人物たちのキャラもたってるから、堅苦しいと捉えられがちな題材も、すんなり受け入れられるんだろう。
百人一首の見方ががらりと変わった。
二巻以降、小学時代から高校へと舞台が移る。
進路や家庭の事情で離れ離れになった三人。
千早は一人からかるた部を発足させ、太一も引き込み、福井にいる新にも会いに行くが新は──。
昔のように楽しくできる日が来るのか。
これから三人の気持ちはどんなふうに動いてゆくのか。
千早の夢は、新の夢は、そして太一の密かな恋心は。
あー、私はまた三人でやるかるたが見たい。
来月の新刊が待ち遠しい!
ソワソワソワソワ!
- 2009/02/13(金) 12:14:01|
- 漫画
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直木賞を受賞された作品なので、ご存知のかたも多いはず。
私は最近文春文庫さんで文庫化したものをようやく読んだ。
おっそい。
読む速度もおっそい。
この本、私は三浦しをん先生の作品の中で、一番好きかもしれない。
物語の流れ、登場する人びと、なにもかも。
みんな心に弱さと強さを併せ持っていて、それがじわっと心に染み込んでくる。
私は行天の、どこか危うい、掴みどころの無い性格が特に魅力的だと思う。
どこか普通の人と違う空気を纏う人が好きなんだな、私は。
だから行天はかなりツボにきた。
主人公多田とのやりとりも好きだ!
多田は良い男だと思う。
色んな意味で。
行天と再会して、ぐるぐると紐解かれてゆく過去。
行天の指の傷の理由や、それぞれの家族の話を読んだ時は、ずくりと胸が痛んだ。
それでも、ラストの三文で私の心はすっかり晴れた。
覆い被さっていたシーツが風でどこか青空の彼方へ飛んでいったような。そんな気持ちだった。
救われた、と言う方が近いのかもしれない。
誰もがそれぞれに何かしら悲しみを抱えているけれど、きっと笑顔になる日はやって来る。
だから大丈夫。
大丈夫なんだよと、聞こえない声が聞こえた気がする。
……私の頭は大丈夫なんだよ。
多分。
ところでこのお話、番外編があるそうで。
うおー読みたい!
半目でもののけ歌う行天…み、見たいような見たくないようないややっぱり見たいかも!(どっちだ)
ああ三浦先生のお話はおもしろい。
エッセイもおもしろい。
先日出た日記本も笑い死ぬかと思った。
文章が生きてるみたいだし。
読むお話によって、それぞれ違う印象を受ける。
そしてどれもが魅力的で、心惹かれるのだ!スゴイ!
文庫の解説で、三浦先生のことを「スタイリスト」と評されていたのに、大いに頷ける!こくこく!
- 2009/02/08(日) 15:02:40|
- 小説
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