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だけどやっぱり本が好き

個人的意見120%溢れた読書感想

ファンタジウム/杉本亜未

ファンタジウム 3 (3) (モーニングKC)ファンタジウム 3 (3) (モーニングKC)
(2008/09)
杉本 亜未

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北條は名マジシャンであった祖父を持つサラリーマン。
仕事で訪れたカジノで難読症の少年?長見良とで出会う。
良は北條の祖父から、マジックの技だけでなく、賭博でのイカサマの技までも伝授していた。
良の才能に惚れ込んだ北條は、良をプロのマジシャンとして活躍させるために立ち上がり、二人三脚の人生をスタートさせる──。



とにかく純粋におもしろい!
この良が、13才とは思えないくらいに冷静、というか、全く物怖じしない。
ものごとのとらえ方も、達観しすぎている。
難読症という、良からすれば負い目になるものが、良をそうさせたのだろう。
でもマジックの腕前は本当に凄くて、誰もが目を奪われる。
そんな良をなんとか活躍させたい、脚光を浴びせてやりたいとする北條は、とても良い男だ。

でも良のやりたいマジックは、みんなが『楽しい』もの。
北條の作る道を辿ると、どうしても『競い合う』ものになってしまう。
でも北條の気持ちが分かっているし、北條を信じている良の思いと、自分のやり方や良の気持ちをはかりかね、自問自答を繰り返す北條。
この二人の心理描写にも、胸をきゅうっとさせられる。

通い始めた学校での戦いも、思わず心揺さぶられた。
いじめられても立ち向かう良は、とてもかっこいい。
反面、とても心配になってしまう。
強くなれるかもしれないけれど、きっと傷付く痛みは大きいだろう。
小さな心が、また新たな昏さを生み出しませんように。
北條や友達や先生たちが、良を救ってくれますように。
祈らずにはいられない。

私はペン回しのエピソードが好きだ。
ペンは本来書くものだけれど、

それがどうした

というモノローグが良かった。
良らしい。

『ともだち』と呼べる存在ができたこと、『文字が読めるようになりたい』と思えるようになったこと、これだけでも、本当に学校に来て良かったと思える。
良の周りには、素敵な人が集まっていて、このまま良い方向に流れていってほしい。

けれどとうやら簡単にはうまくいきそうにないようだ。
良が万引きって!
ありえん!
はめられたのか!?
ああああ4巻が待ち遠しい!!


これを読んで、『最後のユニコーン』が読みたくなった。
おもしろそう!
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  1. 2009/03/19(木) 23:55:53|
  2. 漫画
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守護天使/上村佑

守護天使 [宝島社文庫] (宝島社文庫)守護天使 [宝島社文庫] (宝島社文庫)
(2008/10/02)
上村佑

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チビでデブ、家庭では犬にまで見下される五十路の中年男?啓一が、ある日ひとりの女子高生に恋をする。
(といっても不倫やエンコーのお話ではなく。)
平行して、投稿されたひとつのブログ。

『誰か私を見つけて──』

このブログを中心に、黒い波紋が広がってゆき、ついに恋心を寄せる女子高生がさらわれてしまう。
彼女を守る使命に燃える啓一と、なんだかんだ協力することになったチンピラ村岡、元引きこもりヤマト。
不穏な動きをする輩から、彼女を助けることができるのか?


サスペンス要素やスリリングな展開がたくさんあるのに、何故かコミカルで笑えてしまうのは、間違いなく啓一の人柄のせい(笑)
家庭での哀れなまでの仕打ちや、モデルのバイトで貞操の危機に遭った際には、思わず涙が出た。
笑い過ぎて。

ドキドキハラハラゲラゲラ(笑)、そしてキュンと胸に響くお話だった。
第2回ラブストーリー大賞を受賞したというのも納得。
ピュアで無償の愛情って、素敵だ!


外伝の、ヤマトと麻美のお話もまた面白かった。
すごいドキドキハラハラした。
啓一が本当に心底下品だったが(笑)
特にラストでヤマトが降参する場面は、胸キュン過ぎて悶絶した!
ヤマト!
最高!
こんな男の子どっかに落ちてないか!(…。)



ピュアで胸がキュンとときめく気持ちは、老若男女問わず、忘れずに持ち続けたい。

  1. 2009/03/01(日) 20:32:04|
  2. 小説
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ちはやふる/末次由紀

 
ちはやふる(Be?Loveコミックス)

百人一首はスポーツだよこりゃあ!と初めて思った。
『百人一首競技かるた』となると、なるほど、と頷ける。
競技だったのだ。
やってる人からしたら当たり前かもしれないけれども。

百首のうちの半分も覚えていない私からすれば、競技者たちは神だと思う。
暗記力、瞬発力、忍耐力…。
どれも絶望的に乏しい私は、ぼーず捲りくらいでしか勝てまい。


この漫画を手に取った理由は、タイトルの『ちはやふる』。
すぐに『からくれなゐに─』の上の句だと分かったのは、私もこの句が一番好きだから。
友人の名前が入っているせいで、一番に覚えた句だから。
これをメインにしている話ってどんなだろう?と興味が湧いた。

百人一首の漫画なんて、歌の意味とかウンチクとかタラタラの、つまんない話になってるんじゃなかろうか…なんて思ってた当初の自分を蹴り飛ばしたい。
とんでもねー杞憂だった。
末次先生申し訳ありません。平身低頭。


主人公千早と、新と太一。
この三人組で戦ってゆく様子に、どんどん引き込まれる。
千早が可愛いのなんの。
素直で元気いっぱい、好感度抜群の女の子だ。
そして新が可愛いかっこいい!
福井弁もイイ。
兎に角イイ子。たまらん。
息子に欲しいぞよあんなぷりちーな子。

しかしながらこの漫画、登場人物たちのキャラもたってるから、堅苦しいと捉えられがちな題材も、すんなり受け入れられるんだろう。
百人一首の見方ががらりと変わった。

二巻以降、小学時代から高校へと舞台が移る。
進路や家庭の事情で離れ離れになった三人。
千早は一人からかるた部を発足させ、太一も引き込み、福井にいる新にも会いに行くが新は──。

昔のように楽しくできる日が来るのか。
これから三人の気持ちはどんなふうに動いてゆくのか。
千早の夢は、新の夢は、そして太一の密かな恋心は。

あー、私はまた三人でやるかるたが見たい。
来月の新刊が待ち遠しい!
ソワソワソワソワ!
  1. 2009/02/13(金) 12:14:01|
  2. 漫画
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ボタンひとつで手に入る喜びと貧困

オークションで本や服が売れて財布が潤った!
と思ったら、本を落札しまくりすぎて一気に枯渇。
でも後悔はしていない。
むしろ清々しいほど満たされている!
早く手元に来い来い!


…ダメすぎるぞよ自分。
  1. 2009/02/13(金) 08:54:21|
  2. 徒然
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まほろ駅前多田便利軒

直木賞を受賞された作品なので、ご存知のかたも多いはず。
私は最近文春文庫さんで文庫化したものをようやく読んだ。
おっそい。
読む速度もおっそい。

この本、私は三浦しをん先生の作品の中で、一番好きかもしれない。
物語の流れ、登場する人びと、なにもかも。
みんな心に弱さと強さを併せ持っていて、それがじわっと心に染み込んでくる。

私は行天の、どこか危うい、掴みどころの無い性格が特に魅力的だと思う。
どこか普通の人と違う空気を纏う人が好きなんだな、私は。
だから行天はかなりツボにきた。

主人公多田とのやりとりも好きだ!
多田は良い男だと思う。
色んな意味で。

行天と再会して、ぐるぐると紐解かれてゆく過去。
行天の指の傷の理由や、それぞれの家族の話を読んだ時は、ずくりと胸が痛んだ。

それでも、ラストの三文で私の心はすっかり晴れた。
覆い被さっていたシーツが風でどこか青空の彼方へ飛んでいったような。そんな気持ちだった。
救われた、と言う方が近いのかもしれない。


誰もがそれぞれに何かしら悲しみを抱えているけれど、きっと笑顔になる日はやって来る。
だから大丈夫。
大丈夫なんだよと、聞こえない声が聞こえた気がする。

……私の頭は大丈夫なんだよ。
多分。


ところでこのお話、番外編があるそうで。
うおー読みたい!
半目でもののけ歌う行天…み、見たいような見たくないようないややっぱり見たいかも!(どっちだ)


ああ三浦先生のお話はおもしろい。
エッセイもおもしろい。
先日出た日記本も笑い死ぬかと思った。
文章が生きてるみたいだし。

読むお話によって、それぞれ違う印象を受ける。
そしてどれもが魅力的で、心惹かれるのだ!スゴイ!

文庫の解説で、三浦先生のことを「スタイリスト」と評されていたのに、大いに頷ける!こくこく!
  1. 2009/02/08(日) 15:02:40|
  2. 小説
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